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「ローマの休日」ロケ地巡り

不朽の名作映画『ローマの休日』。オードリー・ヘップバーンが演じた、チャーミングなアン王女が人気を集めるこの映画の撮影が行われたローマには、今も舞台となったスポットが残っている。

・ロケ地1「フォロ・ロマーノ」

フォロ・ロマーノは、古代ローマ時代の首都にあたり、アン女王と新聞記者のジョーの出会いの場である。ある晩、賭博場で賭けをしていたジョーが最後の大勝負に出るも結果は散々で、一人寂しく帰路につくところから出会いのシーンは始まる。

家に向かう夜道を歩いていると、ベンチに寝転がり寝言を言っているアン王女の姿が。ただの酔っ払いだと思ったジョーは家に帰るようにうながすも、鎮静剤のせいで頭が回らないアン王女とはまったく会話が噛み合わない。

フォロ・ロマーノは、パラティーノの丘、カピトリーノの丘に挟まれた長さ400m、幅100mほどの狭い地域に元老院議場、皇帝たちの神殿や広場が密集し建立された場所。ローマ帝国時代の政治・宗教の中心地として機能していた場所。ふたりが座っていたベンチは現在はないが、フォロ・ロマーノの西側にある「セプティミウス・セウェルスの凱旋門」の近くから、映画と同じような背景を見ることができる。

隣接しているコロッセオへの入場とセットになったチケットを購入することで、フォロ・ロマーノ、パラティーノの丘にも入場することができる。

・ロケ地2「トレビの泉」

王室は、予定していた会見は全てキャンセルし、シークレットサービスにアン王女の捜索を依頼。

一方、未だアン王女の正体を知らないジョーは、熟睡中のアン王女を部屋に残したまま勤務先の新聞社へ出社。そこで初めて自分の家に泊まっているのがアン王女であることを知る。

慌てて部屋に戻ったジョーに、アン王女は自らの名前を「アーニャ」と告げる。そして一晩面倒を見てくれたジョーにお礼を伝え、宮殿へ戻るべく一人ローマの街へと繰り出して行った。

トレビの泉に足を運んだ際には、泉の中にコインを投げることが観光客のお約束となっている。泉に投げるコインの数によって願掛けする内容が異なり、1枚は再びローマに戻ってこられる、2枚は好きな人と結ばれる、3枚は縁を切りたい人と縁切りできると言われている。正しいコインの投げ方は「泉に背を向けて右の手の平にコインを載せ、左肩越しに投げる」という方法。

・ロケ地3「スペイン広場」

アン王女の正体に気づいたジョーは、新聞社の上司に王女のスクープを約束していた。何とかスクープを狙おうと後を追うが、証拠を残すことができない。スペイン広場の階段でジェラートを頬張るアン王女の元へ、偶然を装って再接近。

「もう帰らなくちゃ」と立ち去ろうとするアン王女に「もう少しだけ冒険を続けないか」と提案する。ジョーの提案に少し乗り気になったアン王女。

「実は今までずっとやりたかったことがあるの」と告白したことは、「カフェに行ったり、ウインドーショッピングをしたり、雨の中を歩いてみたり……」というたわいもないこと。

それを聞いたジョーは「今日1日休みにするから、これからふたりでそれを全部やろう」とアン王女の手を引き、スペイン広場を後にした。

ローマの休日をきっかけに一躍ローマの観光名所と化したのが、135段の階段を有するスペイン広場。広場に「スペイン」という名前がついているのは、階段を降りたところにバチカン市国のスペイン大使館があることに由来する。現在はスペイン広場での飲食は禁止されており、違反した場合6万円ほどの罰金が課せられるので注意。

・ロケ地4「パルテオン神殿」

カフェにやってきたふたり。悪気なくシャンパンを注文するアン王女にお金のないジョーはたじろぐが、友人カメラマンのアーヴィングと合流することで何とかやり過ごす。

その後ふたりで手を組み「アン王女の24時間のローマの休日」をスクープしようと持ちかける。アーヴィングは、もちろんジョーのオファーを快諾。そこからふたりは、アン王女への秘密の取材を開始する。

パルテオン神殿は現在、教会としてミサも行われている。この建物はもともと、多神教だったローマ帝国時代に様々なローマの神様を奉るための「万神殿」として建てられた。パンテオン神殿が初めて建てられたのは、紀元前25年。しかし初代パンテオンは火事によって焼失してしまい、現在あるのは128年に再建された2代目。

現存する石造り建築物としては、世界最大規模の建物とされているパンテオン。天井にはオクルスと呼ばれる高度な技術が必要とされる円状の採光窓が設けられており、古代ローマ人の驚くべき建築技術の高さが評価されている。

・ロケ地5「コロッセオ

カフェを出た後に3人が向かった先はコロッセオ。ジョーがアン王女をベスパ(スクーター)の後ろに乗せ、カメラマンのアーヴィングが車に乗って二人を後ろから追いかけるというスタイルで進んで行く。盗撮されているとは知らず、コロッセオの中にも入場し、ローマ観光を満喫するアン王女。

コロッセオの収容可能人数は約5万人〜7万人とも言われており、超巨大な闘技場跡地となっている。西暦72年から建築工事が始まり、第10代ローマ皇帝ティトゥスが治世していた西暦80年に完成。完成当時、コロッセオの正式なオープンを市民に告示するとともに、100日間にも渡る盛大な奉献式が開催された。奉献式では闘技場に水を張って歴史的な海戦を再現する「模擬海戦」や、猛獣、剣闘士同士の殺し合いなどが連日開催され、100日の間に約5,000頭の猛獣、数百人もの剣闘士が命を落としたと言われている。

・ロケ地6「真実の口

アン王女が繰り広げた暴走運転の末、結局は警察に捕まってしまうも、取り調べを事なく終えて警察署から出てきた3人。ジョーは署の近くにある「真実の口」へアン王女を連れてゆく。

「嘘つきの手は食いちぎられる」とジョーから聞かされたアン王女は、自分が王女であることを隠している負い目から「あなたが手を入れてみて」とジョーに順番を渡すことに。

真実の口の奥の方まで手を差し込んだ瞬間、自らの手が食いちぎらているかのように悲鳴をあげて苦しみもがき始めたジョー。そんなジョーの姿に必死でジョーの手を引っ張って助けようとするアン王女。

ジョーが真実の口から手を引き出した瞬間、無傷の手を見て「嘘つき!」と怒りながらも安堵の表情を浮かべたアン王女だった。

・ロケ地7「サンタンジェロ城」

夜も更けてきた頃、ジョーがアン王女を連れて向かった先は、川沿いで開かれているダンス・パーティー。

ところが楽しそうに踊るふたりの姿を遠くからじっと観察する男たちが。アン王女は遂に王室が派遣していた私服警官たちに見つかり、強制的に滞在先へと連れ戻そうとされる。

乱暴に連行しようとする私服警官たち、必死に抵抗するアン王女、そして連行を阻止すべく私服警官にとびかかるジョー。そこに友人カメラマン・アーヴィングも加わり、ダンス会場は一気に大乱闘モードへと突入。

アン王女とジョーは、追っ手から逃れるためにパーティ会場のそばを流れるテヴェレ川へと飛び込んだ。

サンタンジェロ城は西暦135年、ローマ帝国・五賢帝のひとり、第14代ローマ皇帝ハドリアヌスが自らと家族のための霊廟として建設を始め、西暦139年に完成した。しばらくはハドリヌアスの霊廟として使用されていたが、のちに軍事施設として使用され始め、西暦403年にはローマ市内を守るための都市城壁の一部となった。

さらに時が流れて14世紀以降になると、城のふもとに流れるテヴェレ川からの敵の侵入を防ぐための要塞として強化され、同時に牢獄や避難所としても使用されていた。1933年以降は博物館となり、ルネサンス期に活躍した画家たちの絵画や彫刻などが展示されている。

・ロケ地8「コロンナ宮殿」

アン王女が戻ったことを確認した王室は速報を打ち、キャンセルした王室の会見を1日遅れで開催した。

会見を取材すべく数多く集まったメディアの中にはもちろん、ジョーとアーヴィングの姿も。記者団の中に立つふたりの姿を見つけたアン王女は一瞬とまどいを見せ、少し複雑な表情で会見を始めた。

「これまでに訪問した中で一番良かった都市は?」という質問を受けたアン王女。すべての都市に対して平等なコメントで返答をしようと試みるも、「ローマです。何が何でも、ローマが一番です」と胸を張って言い切った。

記者会見を終えたアン王女は、各メディアの記者一人一人と挨拶を交わしていく。自分の番が訪れたアーヴィングは、「ローマ訪問の記念として写真をプレゼントさせてください」と、盗撮していた「王女のローマの休日」の写真が入った封筒を手渡した。

封筒を開け、パーティー会場でギターを振りかざして応戦する自分の姿を目にしたアン王女は、少し驚きながらも、嬉しそうにその写真を受け取った。そしてアン王女はついにジョーの元へ。

この時初めて会ったかのように、「お会いできて光栄です」と挨拶するジョーに対して、「私こそ」と答えるアン王女。手を握ったまま数秒間、瞳で無言の会話を交わすふたり。この瞬間が、ふたりにとって最後のひと時となった。

宮殿の名前にもなっている「コロンナ家」の名前が史料に登場するのは、9世紀。そして西暦1200年頃から現在に至る約800年以上にもわたって、ローマにあるクィリナーレ丘の斜面に住み続けている。広大な敷地の上に立つ宮殿は一族が住む複数の母屋から成り立っており、それらの建築や増改築は5世紀にも及んだ。

数世紀にも渡った工事の影響から、宮殿内の建物には各時代の様々な建築スタイルが入り混じっている。建物を通して多くの時代を反映したデザインを見る事ができるというのも珍しく、コロンナ宮殿の特徴の一つと言われている。また数多くの貴重な芸術品も収蔵しているコロンナ宮殿は、かの偉大なヴェルサイユ宮殿のサロンに勝るとも劣らないとも評価されている。

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